AI情報漏えいはなぜ起こる? ChatGPT・Copilotの社内利用に潜むリスクと注意点を徹底解説
- VIGILAIN(ヴィジレイン)編集部

- 6月19日
- 読了時間: 18分
更新日:7月15日

ビジネス現場での生成AI活用が急速に進む中、経営層や情報システム担当者が最も懸念しているのが、「情報漏えい」のリスクです。「ChatGPTに機密情報を入力してはいけない」とは聞くものの、「なぜ漏えいするのか」「具体的にどう対策すればいいのか」を体系的に理解できているケースは多くありません。
職場のAI導入は、便利さと安全性をどう両立させるかが大きな課題です。AI活用を全面的に禁止するのではなく、どこにリスクがあり、どう対策すればよいかを理解したうえで利用を進めることが重要です。
本記事では、AI情報漏えいの基本から、なぜ起こるのかという原因、ChatGPT・Microsoft 365 Copilot・開発支援AIごとの違い、業務で起こりやすい失敗例、企業が取るべき対策まで、初心者にもわかりやすく整理して解説します。

INDEX


AI情報漏えいとは?生成AIによる情報漏えいのリスクと現状

生成AIにおける情報漏えいは、従来のウイルス感染や不正アクセスによるデータ流出とは、性質が大きく異なります。
▶︎AI情報漏えいとは「入力・保存・共有・出力」で起きる問題

AI情報漏えいとは、生成AIやAI支援ツールの利用をきっかけに、機密情報や個人情報、社内の非公開情報が本来見えるべきでない相手に見えてしまう、または外部に流出してしまう問題のことです。
この問題は、単に「AIに入力した内容が外へ漏れる」だけではありません。たとえば次の4つの場面で起こり得ます。
1:入力:ユーザーがプロンプト(指示文)に機密情報を書き込む。
2:保存:入力内容がサービス提供側のサーバーに履歴として残る。
3:共有:履歴機能や共有リンクを通じて、意図せず第三者に内容が見える。
4:出力:AIが参照したデータや入力内容、あるいはモデルの挙動によって、本来表示すべきでない情報を回答に含めてしまうことがあります。
つまり、AI情報漏えいは「送信」だけの問題ではなく、AIの利用プロセス全体で起こるリスクだと理解する必要があります。これらは単独でも複合的に起こり得るため、全体像を理解することが重要です。
(出典:NIST「AI リスクマネジメントフレームワーク」)
▶︎なぜ生成AIの利用で情報漏えいが注目されているのか

生成AIは高い利便性から業務利用が急速に広がっている一方で、入力データの保存や学習利用の有無、共有リンクや外部連携による情報の扱いが分かりにくい点が問題視されています。
さらに、ユーザー自身が機密情報を不用意にプロンプトに含めるケースや、シャドーAIと呼ばれる未承認ツールの利用が増えて監査が困難になる点もリスクを高めています。
こうした背景で情報漏えいの被害事例や潜在リスクが注目されています。
2024年に公開されたIPAの調査報告書でも、生成AIの業務利用機会が増える一方で、AI利用に伴う脅威やリスクが十分に検討されていないケースがあると指摘しています。便利だから使うのではなく、どの業務で、どのデータを、どのツールに入力してよいのかを整理したうえで運用することが重要です。
(出典:IPA「AI利用時のセキュリティ脅威・リスク調査 調査報告書」)
▶︎国内企業のAI導入状況とセキュリティへの懸念事項

国内企業では業務効率化やドキュメント作成支援などを目的に生成AI導入が進んでいますが、導入のスピードに対してセキュリティ対策や社内ルールの整備が追いついていないケースも少なくありません。
どの情報をAIに入力してよいのかという判断基準が曖昧なまま、利用が拡大する傾向にあります。これが重大な情報漏えいリスクを生む原因となっています。
こうしたリスクを防ぐためには、法令遵守と技術的対策の両輪が求められます。
経済産業省のAI事業者向けガイドラインでも、AIの利用者・提供者・開発者のそれぞれに対して、リスク把握、適切なデータの取り扱い、説明責任、ガバナンス整備の重要性が示されています。AIの導入を進めるほど、社内ルールや管理体制の整備が重要になります。
(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン」)
▶︎情報漏えいが企業に与えるダメージ(社会的信用・法的制裁)

情報漏えいは、企業に多面的なダメージを与えます。顧客や取引先からの信用低下に加え、内容によっては法令に基づく報告義務や契約上の責任が発生し、対応コストも大きくなります。
特に個人情報や機密情報の漏えいは、競争力の喪失やブランド毀損につながり得ます。
個人情報の漏えい等については、内容によって個人情報保護委員会への報告や本人通知が必要になる場合もあり、AI利用で起きた漏えいであっても例外にはなりません。情報漏えいは単なる技術事故ではなく、法務・コンプライアンス・経営の課題でもあります。
(出典:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」)
経営的な観点からは、事後対応コストや信用回復に要する時間が甚大であるため、予防的な投資と継続的な監視体制の整備が不可欠です。

AI情報漏えいはなぜ起こる? 5つの主な原因とメカニズム

なぜ、便利なAIが「情報の流出口」になってしまうのでしょうか。その主な5つの原因を整理します。
1:入力データがAIモデルの「再学習」に利用されるリスク


生成AIサービスでは、サービスや契約プラン、設定によっては、入力や出力が保存され、モデル改善や再学習データに使われることがあります。
これにより、利用規約等に「学習に使用する」と明記されている場合、入力した機密情報がモデル改善に利用される可能性があります。その結果、他のユーザーへの回答の中に機密情報が意図せず含まれるリスクが指摘されています。
すべてのAIサービスが一律に再学習へ使うわけではありませんが、利用者が契約条件や設定を理解しないまま使うと、想定外の扱いになることがあります。特に個人向けプランと法人向けプランでは、データの取り扱い方針が異なる場合があるため、ここを誤解すると重大な事故につながります。
(出典:OpenAI「OpenAI におけるエンタープライズプライバシー」、OpenAI Help「モデルのパフォーマンスを向上させるためのデータの使用方法」)
2:アクセス権限の不備による「社内データの過剰露出」


これは特にMicrosoft 365 Copilotなどの「社内データ連携型AI」で起こります。既存の社内データを横断的に扱うAIでは、アクセス権限が非常に重要です。AIそのものが勝手に権限を拡張するわけではなくても、もともとの共有設定が広すぎれば、AIがその情報を拾って提示することがあります。
たとえば、社内資料へのアクセス権限が適切に設定されていないと、本来閲覧できないはずの「給与情報」や「役員会議事録」を、AIが一般従業員の問いに対して回答してしまうことがあります。これにより、社内で本来見えてはいけない情報が広く参照されるおそれがあります。状況によっては、その情報が転記や共有によって社外へ広がる可能性もあります。
細かな権限設計と利用ログの監査が求められます。
(出典:Microsoft 365 Copilot の概要)
3:サードパーティ製ツールやAPI連携による「見えない」流出


社内で使うAIは、単体で完結するとは限りません。要約ツール、議事録作成ツール、問い合わせ支援ツール、RAG基盤、外部APIなど、多くの連携が発生します。
その結果、ツールを経由してデータが送られる際、そのツールベンダーにデータが蓄積されたり、連携先サービスの脆弱性や設定不備を突かれ、経由先でデータが不正に取得されるリスクもあります。
連携先のセキュリティやデータ保持方針が不明瞭だと、当該ツールを介して機密情報が第三者プロバイダーへ渡るリスクが高まります。また、プラグインや拡張機能が意図せずデータを送信するケースもあるため、連携サービスの棚卸しと契約条件の確認が不可欠です。
(出典:NIST「AI リスクマネジメントフレームワーク」)
4:バグやプロンプトインジェクション等のシステム脆弱性


AI特有の攻撃である、プロンプトインジェクション攻撃やAPIのバグ、モデルの不適切な出力管理により、意図しない情報漏えいが発生することがあります。
攻撃者が巧妙な入力を行うことで、システムが内部の機密情報を参照したり外部へ送信したりする可能性があり、また、モデルの挙動や設計上の特性によって、学習済みデータに由来する情報が出力に含まれるリスクも指摘されています。
生成AIの運用においては、通常のサイバーセキュリティ対策に加え、AI特有の脅威を前提とした情報漏えい対策とシステム設計が必要です。NISTの生成AI向けリスク管理文書でも、機微情報の露出、プロンプトインジェクション、外部サービス依存など、従来システムとは異なるリスクが整理されています。
(出典:NIST「AI リスクマネジメントフレームワーク」)
5:不正アクセスやなりすましによるアカウント乗っ取り


AIサービスの利用には、アカウントやAPIキー、SSO(シングルサインオン)設定が使われます。これらが漏えいしたり、設定が甘かったりすると、第三者が正規ユーザーになりすましてAI環境へアクセスするおそれがあります。
たとえば、開発支援AIに接続するAPIキーがソースコード管理ツール上に残っていた場合、外部から不正利用される可能性があります。AIの安全性だけでなく、認証情報の管理や多要素認証の徹底も重要です。
(出典:IPA「AI利用時のセキュリティ脅威・リスク調査 調査報告書」)

ChatGPT・Microsoft 365 Copilot・開発支援AIで異なる情報漏えいリスク

▶︎ChatGPT:個人版と法人版で決定的に異なるデータの扱い

ChatGPTを業務利用する際に重要なのは、個人向けの使い方と法人向けの使い方を同じ感覚で扱わないことです。
現場では「便利だからとりあえず使う」という流れで個人アカウントを使い始めるケースがありますが、契約形態や設定を確認せずに機密情報を入力すると、企業として想定外のリスクを抱えます。特に、利用ログの管理、権限統制、監査、データの保持方針などを設計しやすい点は、法人利用の大きな利点です。
そのため、ChatGPTの利用を検討する場合は、「使ってよいかどうか」ではなく、「どのプランをどのルールで使うか」を設計することが重要です。
●個人向け(Free / Plus / Pro)
既定では会話データの学習利用が有効です。(設定でオフにすることも可能ですが、見落とされがちなため注意が必要です)
●法人向け(Business / Enterprise)
既定で入力データはモデル学習に利用されず、管理・監査機能も強化されています。
(出典:OpenAI「OpenAI におけるエンタープライズプライバシー」、OpenAI Help「モデルのパフォーマンスを向上させるためのデータの使用方法」)
▶︎Microsoft 365 Copilot:「情報の過剰露出」による社内流出リスク

Microsoft 365 Copilotの大きな特徴は、メール・Teams・SharePoint・OneDriveなど、既存の社内情報に基づいて回答できることです。これは非常に便利ですが、その分、過去のアクセス権限の不備が表面化しやすいとも言えます。
たとえば、共有リンクが広く開いているフォルダや、アクセス権限が整理されていないTeamsチャネルがあると、Copilotがその情報を要約や回答に反映してしまうおそれがあります。結果として、外部流出ではなくても、社内での見えすぎが起きる可能性があります。
Copilot対策では、AI機能そのものを止めるよりも先に、Microsoft 365の権限棚卸しとデータ分類を行うことが重要です。
▶︎開発支援AI:ソースコード・認証情報・設計情報の入力に注意する

開発現場では、コード生成やレビュー支援、デバッグ補助のためにAIが活用されています。ここでのリスクは、ソースコードや設計書そのものだけではありません。認証情報、接続先URL、障害調査ログ、顧客固有の実装仕様なども漏えい対象になります。
特に開発支援AIでは、「少しだけ貼って相談する」という使い方が習慣化しやすく、重要な情報が断片的に入力されがちです。ソースコードや設計情報、APIキーなどの認証情報をプロンプトやコミットに含めると、不正アクセスや情報漏えいの原因になります。
特に、データ利用方針は製品やプランによって異なるため、契約条件を確認したうえで、機密情報やシークレットを安易に入力しないことが重要です。
(出典:IPA「AI利用時のセキュリティ脅威・リスク調査 調査報告書」)
比較項目 | ChatGPT(個人) | ChatGPT(法人) | Copilot / M365 | 開発支援AI |
入力データの学習利用 | 学習利用が有効な場合がある | 学習利用しない契約がある | 企業データと連携しやすいが制御あり | 製品・プランごとにデータ利用方針が異なる |
管理・ガバナンス | 限定的 | 管理コンソール等で強化 | 既存のID/アクセス管理と連携 | コードレビューやフックで対策 |
リスクの特徴 | 外部流出や学習による二次漏えい | 契約の不備で流出リスク | 社内情報の過剰露出 | ソース/シークレット漏えい |

要注意!業務でAI情報漏えいが起きやすい5つの失敗ケース

生成AIを使用する現場で実際に起きている「危ない」シーンを紹介します。
1:議事録・提案書・契約書の要約をAIに任せるケース


会議の議事録や提案書、契約書は、効率化のためにAIへ投入しやすい代表例です。
しかし、原文に機密事項や個人情報が含まれていると要約にもそのまま反映される恐れがあります。特に要約や修正で機密箇所を取り除く処理が自動化されていない場合、外部サービスにデータを送ることで情報が流出する可能性が高くなります。
要約前のデータクレンジングと社内ルールが必須です。
(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン」)
2:コード・設計書・障害情報を入力するケース


開発現場で障害ログや設計書、ソースコードを生成AIに入力して問題解決を図ると、認証情報や未公開技術仕様が含まれる場合に重大な漏えいリスクが生じます。特に障害時は急いでいるため、情報の選別を飛ばしてしまいやすい点が危険です。
外部クラウドサービスへ送信する場合は、該当データが第三者に保存・参照される可能性があるため、サニタイズや社内専用モデルの利用、アクセス制御が重要になります。
(出典:OpenAI「OpenAI におけるエンタープライズプライバシー」、OpenAI Help「モデルのパフォーマンスを向上させるためのデータの使用方法」)
3:顧客情報や個人情報を含む問い合わせ対応で使うケース


問い合わせメールやサポート履歴をAIで要約したり、返信文案を作成したりするケースも増えています。ここで氏名、住所、電話番号、契約内容、相談履歴などがそのまま入力されると、個人情報保護の観点で問題になります。
人事労務部門でも、従業員の評価情報や健康関連情報、面談記録などをAIへ渡すことは極めて慎重であるべきです。個人データは原則入力禁止とし、匿名化やトークン化を行った上で利用する必要があります。
(出典:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」)
4:無料AIツールや未承認ツールを現場が独自利用するケース


いわゆる「シャドーAI」が最も起きやすいケースです。「会社がAIを導入してくれないから、私物のスマホで使う」といった行為は、利用実態を把握しにくく、情報漏えいリスクを高めます。
管理されていないツールはログや保存ポリシーが不明瞭であり、結果的に機密データが外部に蓄積されてしまうリスクが高いです。
現場の利便性とセキュリティを両立させるために、利用可能ツールのリスト化とアクセス制御が重要です。
(出典:IPA「AI利用時のセキュリティ脅威・リスク調査 調査報告書」)
5:社内ポリシーが曖昧なまま利用が先行するケース


「なんとなく便利だから使ってみよう」という空気感の中で、何を入れてよいのか、どのツールを使ってよいのか、承認は必要か、といったルールがない状態は非常に危険です。
ルールが曖昧だと、従業員は各自の判断で使うしかなくなります。悪意がなくても、結果として重大な情報漏えいにつながる可能性があります。
明確な禁止データの定義やプロンプト利用のルールを事前に策定し、社内に周知徹底することが被害予防につながります。
(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン」)

AI情報漏えいを防ぐために企業が取るべき対策

「禁止」するだけでは生産性が低下し、隠れて利用する従業員(シャドーAI)を増やす結果につながりかねません。技術とルールの両面から対策を講じましょう。
▶AI利用ガイドラインの策定と「禁止データ」の明文化

最初に行うべきは、AI利用ガイドラインの整備です。抽象的な注意喚起ではなく、どのデータをAIに入力してよいのか、どのデータを禁止するのかを明確に示すべきです。
たとえば、次のような情報は原則禁止にしやすい代表例です。
●顧客の個人情報
●未公開の業績情報
●契約書の原文
●認証情報やAPIキー
●人事評価や労務面談記録
●顧客環境の構成情報
このように、具体例ベースでルール化すると、現場でも判断しやすくなります。「個人情報の入力禁止」「商用利用時の権利確認」など、具体的なチェックリストを作成するのも効果的です。
(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン」、個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」)
▶従業員へのリテラシー教育と「プロンプトの書き方」指導

ルール設定だけでなく、従業員教育を通じてAIの仕組み(学習される仕組み)を教えるとともに、プロンプトに含めてはいけない情報や匿名化の方法、生成結果の検証ポイントを指導するなどの人的対策も不可欠です。
また、プロンプト設計のベストプラクティスや、出力結果の二次検査フローを定めることで、誤入力や誤出力による漏えいを未然に防ぐことができます。
教育は実例を用いて定期的に実施するべきです。
(出典:IPA「AI利用時のセキュリティ脅威・リスク調査 調査報告書」)
▶AI FirewallやAI-SPMによるリアルタイムな可視化と制御

より高度な対策として、AI利用を監視・制御する仕組みの導入も有効です。
とくに、最新の技術として、以下のソリューションが注目されています。
●AI Firewall
プロンプトの内容をリアルタイムで検査し、機密情報が含まれる入力を自動でブロックします。
●AI-SPM
組織内のAI利用状況を一元管理し、不適切な設定や脆弱性を継続的に監視(Posture Management)します。
すべての企業に直ちに必要とは限りませんが、自社開発AIや複数のAIツールを使う企業では、こうした技術的統制の重要性が高まります。

AI情報漏えいが起きた場合の影響と、導入前に確認すべき注意点

▶︎顧客信用の低下やブランド毀損につながる

情報漏えいが起きると、直接的な被害だけでなく、「この会社はAIを安全に使えない」という印象が残ります。顧客の信頼は急速に低下し、メディア報道やSNSを通じてブランドイメージが毀損されます。
信用回復には長期間と多大なコストが必要となり、取引停止や新規ビジネスの機会損失として表れる可能性があります。
これを避けるためにも、事前の予防策と迅速な対応計画が重要です。
▶︎法務・コンプライアンス上の問題に発展する

AIの出力内容が他人の著作権を侵害していたり、契約上の秘匿義務に抵触していたりする場合、損害賠償請求などの法的問題に発展する可能性があります。個人情報の漏えい等が発生した場合は、法令に基づく報告や本人対応、社内外への説明が必要になることがあります。特に個人データや医療・金融分野の機密は法的な影響が大きく、違反が判明した場合の対応は法務部門と密に連携して行う必要があります。
(出典:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」)
事前に法的リスクを評価し、契約条項を整備しておきましょう。
▶︎導入前に確認すべきチェックポイントを整理する

導入前チェックリストとして、データの保管場所と保持期間、学習利用の有無、アクセス制御の仕組み、ログの取得・保存方針、API連携先のセキュリティ、法務面の許諾範囲、インシデント対応手順の整備などを確認することが重要です。特に最低限、以下の点は必ず確認しておきましょう。
●利用目的が明確か
●どのデータを扱うか決まっているか
●入力禁止情報が定義されているか
●アクセス権限が見直されているか
●ログ確認や監査の方法があるか
●無料ツールの利用実態を把握しているか
●法務・情シス・現場の責任分担が明確か
これらを曖昧にしたまま導入すると、活用が進むほどリスクが膨らみます。
(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン」)
▶︎「禁止」ではなく安全に使う前提で設計することが重要

AI活用を全面禁止しても、現場で便利さへの需要があれば、むしろシャドーAIが増える可能性があります。 重要なのは、禁止一辺倒ではなく、使ってよい範囲を示し、安全に使える環境を整えることです。
たとえば、承認済みツールを用意する、入力禁止情報を明文化する、社内向けFAQを作る、権限を見直すといった対策を組み合わせることで、利便性と安全性の両立がしやすくなります。
(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン」、Microsoft 365 Copilot の概要)
AI情報漏えいに関するよくある質問(FAQ)

Q. AI情報漏えいはChatGPTだけの問題ですか?
A. いいえ。ChatGPTに限らず、Copilot、開発支援AI、自社開発AI、要約ツールなど、情報を入力・参照・出力するあらゆるAI利用で起こり得ます。
Q. Copilotは社内データを外部へ送信するのですか?
A. 一概には言えませんが、Copilotで特に注意すべきなのは、外部流出だけでなく、社内の過剰露出です。もともとのアクセス権限や共有状態が適切かを確認することが重要です。
Q. 生成AIを安全に使うには何から始めればよいですか?
A. まずは、利用目的の整理、入力禁止情報の定義、利用可能ツールの明確化、従業員教育、権限見直しから始めるのがおすすめです。(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン」)

まとめ
AI情報漏えいは「なぜ起こるか」を理解すると防ぎやすくなる

生成AIは業務効率化や新たな価値創出の強力なツールですが、データ取り扱いの不備が重大な情報漏えいにつながるリスクも孕んでいます。
まずは「なぜ漏えいするのか」のメカニズムを組織全体で共有し、ガイドラインの整備と並行して、AI-SPMやAI Firewallといった最新のテクノロジーを導入することで、攻めと守りのバランスが取れたAI活用を実現しましょう。
禁止ではなく管理された利用でAIイノベーションを推進し、事故発生時の迅速な対応体制を構築することが、持続的な競争力維持につながります。

参考・出典一覧
IPA「AI利用時のセキュリティ脅威・リスク調査 調査報告書」https://www.ipa.go.jp/security/reports/technicalwatch/eid2eo00000022sn-att/report.pdf
経済産業省「AI事業者ガイドライン」https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html
個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/leakAction/
OpenAI「OpenAI におけるエンタープライズプライバシー」 https://openai.com/ja-JP/enterprise-privacy/
OpenAI Help「モデルのパフォーマンスを向上させるためのデータの使用方法」https://help.openai.com/ja-jp/articles/5722486-how-your-data-is-used-to-improve-model-performance
Microsoft 365 Copilot の概要 https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/microsoft-365-copilot-overview
NIST「AI リスクマネジメントフレームワーク」https://aisi.go.jp/output/output_information/240704/



